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高地トレーニング

高地トレーニングのリスクについて

高地トレーニング

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高地トレーニングのリスクやデメリットとは

高地トレーニングによって、選手の競技力向上を図ることができる一方で、通常とは異なる環境でのトレーニングとなることから、障害・事故といった負の側面が内在していることも認識しておく必要があります。

高地トレーニングのリスクやデメリットの3つのポイント

1. 高地という特性

標高が上がると気圧が下がるため、体内への酸素の摂取が平地に比べて困難になります。また、気温も低下するため適応するのに相応の時間が必要となるとともに、平地での合宿と比べて選手の心身の緊張、疲労度が強くなります。

2. トレーニングメニュー計画への工夫の必要性

合宿当初の身体の適応が十分になされていない時期には、体内への酸素摂取が十分になされないため、選手への心身への負担は強くなります。平地と同一強度でのトレーニングメニューをこなすということは容易でないため、高地に適したトレーニングメニューの作成に配慮することが重要です。
また、呼吸制限を伴うメニューは平地においても時間・頻度・強度設定に安全配慮が必要とされますが、高地ではより酸素不足の状態になりやすいため、安全配慮がなされなければなりません。

3. 健康管理・安全管理への配慮

上記の理由から、睡眠不足や呼吸器疾患、蓄積の疲労などの健康障害が起きる可能性があります。また、身体的・精神的不調を基盤として、さまざまな場面で転倒・転落等による外傷をきたす選手がいることへの注意喚起が必要です。

危険性

高地トレーニングの適用は個人差が大きく、個々の選手に適したトレーニング内容、「質」「頻度」「強度」が重要となります。平地に比べ、低酸素環境では循環器系を含め、体への負担が増大します。死亡事故につながるケースも報告されています。

高地トレーニングを利用する指導者や選手は、高地トレーニングのリスクを把握し安全で健康管理上の注意を理解したうえで、運用し活用することが求められます。

過去の事故事例

直接の因果関係は明らかにされていませんが、高地トレーニング中の死亡事故事例は存在しています。

ひとつ目の事例

2008年の北京五輪で銀メダルを獲得したアレクサンドル・ダーレ・オーエン選手(ノルウェー)が、2012年4月に高地トレーニング合宿先の米アリゾナ州フラッグスタッフの滞在先のホテルの浴室で倒れているところを発見され、死亡しました。死因は心臓麻痺でした。

ふたつ目の事例

2006年に中国・昆明で高地トレーニング中の競泳選手がプールで潜水練習をした後にけいれんを起こして死亡しました。

そうならないための対処法

上記の事例後、日本水泳連盟(JASF)は事故再発防止のため平成20年11月に「高地トレーニングに伴う安全管理のガイドライン」を発表しました。

ガイドラインおいては、前述の高地トレーニングのリスクに配慮するとともに、「常にひとりひとりの選手の特性と状況の変化に対応した合理的なトレーニングと安全管理が実践されなければならない」とされています。

また、スポーツ医科学スタッフの支援・協力を得ることが望ましいとされています。選手の疲労を蓄積させないような処置や、健康障害をきたさないような衛生面・安全面の事前チェックを行うとともに、健康障害の早期発見、適切・迅速な応急処置が可能なように体制づくりを行うことが必要です。

しかし現実には、毎回の高地トレーニングにそういったスタッフの帯同は容易ではないため、事前の教育・指導・相談・協議の場を設けることも重要となってきます。

ガイドラインにおいては、より効果的でより安全なトレーニング方法・内容、指導・管理の留意点などを整理してあるので、高地トレーニングを検討している人は一読しておくべきものであると考えられます。
「高地トレーニングに伴う安全管理のガイドライン」はこちらから確認いただけます。