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高地トレーニング

高地トレーニングの効果について

高地トレーニング

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高地トレーニングの標高

図1にこれまで高地トレーニング研究がおこなわれた場所と標高について示しました。一般的に高地トレーニングの効果を期待する場合、標高1,300~2,000mでのトレーニングが理想的とされています。また、エリートランナーでは標高1,300~2,500mでのトレーニングが効果的とされています。

図1 高地トレーニング研究が行なわれた場所と標高 (小林寛道 2011)

高地トレーニングの効果

低酸素刺激によって、からだは酸素を取り込みにくくなり、血中の酸素濃度が低下します。それに対してからだは環境に適した酸素濃度を確保するために、体内で赤血球数やヘモグロビン濃度などを増加させます。これらの適応能力をトレーニングに活かしています。

3つのポイント

  1. 赤血球・ヘモグロビンおよび血液量が増加することにより、血液中の酸素をより体内で運ぶ能力が改善され、持久力(有酸素性運動能力)の向上につながります。
  2. 骨格筋の毛細血管の発達と酸素貯蔵体であるミオグロビン濃度が増加すること、またミトコンドリアにおける酸化系酵素活性およびミトコンドリア量が増加することにより、筋肉内で酸素をより効果的に利用できる能力が改善され、持久力(有酸素性運動能力)の向上につながります。
  3. H(水素イオン)の緩衝能力が向上すること、また血中乳酸濃度生成(蓄積)が抑制されることにより、疲労を延長させる能力が改善され、ミドルパワー(無酸素性運動能力)の向上につながります。

高地トレーニングの効果的な実施期間

血液中の赤血球やヘモグロビンを増やして持久力の向上を目指す場合には、高地に3週間以上滞在する必要があるとされてきましたが、短い期間(10日~2週間程度)の高地トレーニングを繰り返し実施することによっても効果が期待できるとされています。一方、3~7日間の高地トレーニングでも平地でのパフォーマンスを向上させる可能性も示されています。

このような短期効果は、増血作用を伴わないかたちで、骨格筋の酸素利用能力等を高めることによる効果と考えられています。以上のように「高地トレーニング」は、酸素運搬能を高めて平地および高地での持久力に必要な能力を向上させるということになります。

その他のトレーニング効果

高地での高強度トレーニングによって、無酸素性エネルギー供給能力である最大酸素借や筋の緩衝能力、短時間高強度運動パフォーマンスが改善されたというデータも示されています。このことは、瞬発力に必要な能力を向上させるためにも高地トレーニングが効果的であることを示しています。

また、低酸素刺激そのものは赤血球やヘモグロビンを増大させるだけでなく、血管内皮機能活性化させ、一酸化窒素やアデノシンなどの血管拡張物質を増大させることによって血管拡張反応を促すことや、血管新生(既存の血管から新たな血管枝が分岐して血管網を構築する生理現象)に関与する血管内皮増殖因子の発現を促すことも明らかにされています。また、最近では低酸素環境下での運動は、糖輸送体を増加させ、骨格筋への糖の取り込みを促すことも明らかにされてきています。このように低酸素刺激そのものが有酸素性の運動と同様の生理適応を誘発し、生活習慣病に対する予防医学的な効果についても期待されています。

参考文献
1)浅野勝巳・小林寛道(編) 高所トレーニングの科学:杏林書院, 2004
2)青木純一郎・川初清典・村岡功(編). 高地ト レーニングの実践ガイドライン~競技種目別・スポーツ医科学的エビデンス~:市村出版, 2011
3)豊かな自然に彩られた蔵王高原坊平 蔵王坊平スリートヴィレッジ 高地トレーニングのすすめ
4)第20回高所トレーニング国際シンポジウム 2017 in Tomi,Nagano 抄録集