GREETING東御市市長挨拶

「湯の丸に高地トレーニング施設をつくる」
「湯の丸からトップアスリートを輩出する」
これは「打算」ではありません。「浪漫」です

東御市長花岡 利夫

“1,750mという標高”と“首都圏から3時間以内”ということ。
これが、湯の丸に高地トレーニング施設ができたポイントです。

“湯の丸高地トレーニング施設”が具体性を帯びたのは6年前、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まった年のことです。かねてより日本において水泳の高地トレーニング施設の適地を模索していた日本水泳連盟が湯の丸に視察にきて吟味し決定しました。いくつかほかの候補地があったらしいですが、決まった大きなポイントは湯の丸の“1,750m”という標高らしいです。

高地トレーニングとは、高地の低酸素状態で血液中の酸素を体内に運ぶ能力を高めるものですが、2000mクラスの高さだと高地馴化できるヒトも、馴化できないヒトもいる。個人差が出るわけです。その点、湯の丸は1,750m。専門家によるとこれが個人差が出るのを避けられるギリギリの標高とのことでした。

もうひとつは、選手を容易に平地へ降ろせるということです。高地トレーニングは、心肺機能を高め持久力をアップすることが主で、速度を上げるという効果は望めません。ですから、試合の前に、速やかに平地に降りてスピードを速める練習をするわけです。そういう意味で湯の丸だと、山を降りれば、平地の施設ですぐにトレーニングができます。もちろん、3時間かからずに東京の使い慣れた施設に帰ることも可能です。

湯の丸は“1,750m”という標高と、“平地にすぐ戻れる”という地の利で、高地トレーニングの適地とされ、施設をつくりました。

社会的に必要とされているけれど儲からない。
東御(とうみ)市は“損得勘定”よりも“夢”を選びました。

“湯の丸高原高地トレーニング施設”をつくったのは社会的な必要性があったからです。トップアスリートを育てるには、日本に高地トレーニング施設が必要でした。ですから、湯の丸につくったわけですが、いまの世の中、必要とされていても採算が合わなければいろいろな逆風が吹く時代です。文化施設などもそうですが、必要ではあるけれど、儲からなければやる価値はないという風潮があります。しかし、“湯の丸高原高地トレーニング施設”はできたのです。

“湯の丸高原高地トレーニング施設”は損得勘定でつくられたわけではありません。日本水泳連盟、日本陸上競技連盟とともに、メダルを狙えるアスリートを、この日本で育てたかったから。リスクの多い海外の高地トレーニングに頼らざるを得なかった状況から脱却したかったからです。

おそらく、これから“採算が合わない”という状態が容易に改善されるとは思いません。ただ、“日本人アスリートは日本で育てる”という夢と信念さえあれば、未来は開けるはず。そして、アスリートたちがいい成績を残して、“湯の丸高原高地トレーニング施設”での成果を示してくれれば、状況は変わってくるでしょう。東御(とうみ)市は、“いばらの道”を選んだのではありません。アスリートたちを“バラ色に輝かせる道”を選んだのです。

水泳選手の活躍で、大会全体を盛り上げたい。
高地にプールをつくったのはこんな想いもありました。

1,750mの高地に50m特設プールをつくった理由のひとつは、2020年東京オリンピック・パラリンピックを盛り上げたかったからです。これまでの通例がそのままだとしたら、いちばん最初に水泳競技が行われます。そこで、“湯の丸高原高地トレーニング施設”のプールで鍛えた水泳選手たちが活躍してくれれば、他のアスリートたちの士気も上がり、大会全体もボルテージが上がるはずです。先鋒には、ぜひ頑張ってもらいたいと思います。

もうひとつの理由は、次世代の水泳選手たちを、“湯の丸高原高地トレーニング施設”のプールで強化してもらいたいから。東京の次のパリを、その先のロサンゼルスを目指すスイマーたちを強力にバックアップしたいからです。いまの時代、水泳競技界において各地にあるスイミングスクールの存在は欠かせません。あの北島康介も、所属していたスイミングスクールの薦めにより外国で高地トレーニングに励み、金メダルをとったのです。これからスイミングスクールも高地トレーニングをどんどん取り入れてほしいと思います。いまは、日本に“湯の丸高原高地トレーニング施設”があるのですから。