トレーニング

2019.04.24

知っているだけで効果的!トレーニングの3つの原理と5つの原則とは?

そもそも「トレーニング」という言葉の意味は何でしょう?
宮下充正:著「トレーニングの科学的基礎」では英語辞典を用いて、原義(語源的意味)による歴史的背景よりその意味の変遷について述べています。

英和辞典によれば、トレーニングの動詞train(トレイン)は、17世紀の初めごろは動物を命令にしたがわせるようにとか、芸をするように教育・訓練する、あるいは競走馬をレースにむけて準備させる場合に使われていたという。そして、18世紀の中ごろ、食事と運動によって、スポーツの試合にむけて身体効率を至適水準に到達させるという意味に使われたとある。

続いて、動詞train(トレイン)の意味について

英和辞典によれば、トレインは「仕込む、きたえる、養成する」...
国語辞典によれば、「きたえる」は「金属を火で熱し、また水に入れて打ち、その密度を細かくし、その硬度を強くする」...

まさしく、トレーニングとは日常ではない環境、厳しい環境で鍛錬するスポーツ選手の競技力向上をイメージしますが、一般人の健康づくりや趣味のス ポーツにおいても同様で、効果的に効率よく安全に成果をもたらすための運動の基礎として「トレーニングの3つの原理と5つの原則」があります。

漫然とトレーニングするよりこの法則を知ることで、体の適応性を引き出し、効果的に効率よく安全に自分の体を整えていくことができます。

3つの原理

トレーニングで体に与える影響の根本的な法則のことです。

1.過負荷(オーバーロード)の原理

トレーニングでは、体に一定以上の運動負荷を与えることで、機能が向上するという原理です。つまり「いつもと同じ」では同じ結果しか出ないということです。いつもより少し負荷を多くして運動することが必要です。

2.特異性の原理

トレーニングで刺激した機能(内容)にだけ効果が現れるという原理です。腹筋運動を行ったら腹筋の筋力がアップしますし、持久的な運動をしたら持久力がつきます。

3.可逆性の原理

トレーニングで得られた効果も、やめてしまうと徐々に失われてしまうという原理です。やめると戻ってしまうということは、適切な運動を続けることの大切さを表しています。

5つの原則

原理を基とした上でトレーニングをするときのルール・決まりです。

1.全面性の原則

「全身をバランスよく鍛えることが大事ですよ」という原則です。有酸素運動、筋力トレーニング、柔軟性などの体力要素もバランスよく高めること。鍛 える部分が偏ると、また偏った動きのスポーツでは、全身のバランスが崩れて怪我や痛みの原因になりやすくなるので注意が必要です。

2.個別性の原則

「個人の特性や能力に合わせたトレーニングをしましょう」という原則です。年齢、性別、体力、生活環境、習慣、性格、運動の嗜好など自分に合ったやり方がわかれば、効率的に体を鍛えることができ、継続意欲にもつながります。

3.意識性の原則

「トレーニングをするときに意識の持ち方によって効果が変わりますよ」という原則です。運動の内容、目的、意義をよく理解し、積極的に取り組むこと。そして、どこの部位を鍛えているのか意識しながら行うとトレーニング効果がアップします。

4.漸進性の原則

「コツコツ、焦らず少しずつレベルアップすることが大切」という原則です。運動強度・時間・頻度・技など急に激しく、難しいものに挑戦するのは怪我など危険を伴います。少しずつ順を追って、段階的に育てる力は失われにくく、適切に体を鍛えることができます。

5.反復性の原則

「継続は力なり…トレーニングは継続的に行うことでより大きな効果が得られます」という原則です。体力の向上には少なくとも週3回以上、規則的に、長期間行うこと。技術面でも何度も繰り返し継続することで、神経系も強化され「自分のもの」とすることができます。

原理が3つ、原則が5つもあって複雑に感じてきたかもしれませんが、漫然とトレーニングするよりこの法則を知ることで、体の適応性を引き出し、効果的に効率よく安全に自分の体を整えていくことができます。

高地トレーニングとトレーニングの原理・原則

高地トレーニングでは、高地という低圧・低酸素の環境に身を置くことだけで、体の内側から「過負荷の原理」が起きている状態となります。より一層 「5つの原則」を留意しながらトレーニングを実施していくことが重要であることはいうまでもありません。また、健康づくりのためには高地環境で滞在した り、いつもより軽い運動をするだけでも効果が期待できます。

公益財団法人 身体教育医学研究所 指導員 横井 佳代

公益財団法人 身体教育医学研究所 指導員 横井 佳代

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